【慶讃法要】4月27日 御満座 慶讃の疏

4月21日より始まりました慶讃法要が延べ14座を厳修し圓成しました。宗祖法然上人のご宝前に、奥垣内宗務総長が奏上された慶讃の疏を掲載いたします。

 

 謹み敬って 宗祖円光明照和順法爾大師法然上人の御宝前に白して言さく
 方に今闔山の大衆 丹誠をこめて七日間の立教開宗八百五十年慶讃法要を厳修し 日々群参の善男善女 ご影前に跪座して大師の恩徳を報恩し奉り 爰に障碍なく満座を告げ奉らんとす
 抑も上人は 本 美作の国の人 十歳にして菩提心を発し菩提寺の聖教房観覚の室に入り 十四歳にして比叡に登り 黒谷慈眼房の室に入り 十五歳の時出家得度さる 十六歳の正月より三人の師を以て 天台三大部の十六巻を学し 十八歳の年 師に暇を申し出て遁世す 是偏に名利の望みを絶ちて一向に佛法を学せんため也 その間 南都に遊学し 諸宗の義を学ぶもその答を得られず 遂に黒谷報恩蔵にてその教を尋ねられ 四十三歳の時 善導の散善義付属の釋にあい 廓然として大悟し他力易行浄土の一門を廣開して凡夫出離の道を示し給えり
 つらつら惟るに 大師の出興は聖道の教網 已に弛みて挙世法味に渇し 人皆世相の有為転変に迷い 切に出離解脱を求む 是を以て 大師 浄土易往の直路を示し給うや
 念佛の教えはたちまちにして都鄙に広まり 称名の聲は四海に溢れ 其の化に服せざるものなく その法灯は脈々として今日に至るまで受け継がれ群萌はその沢に潤う
 方に法然上人立教開宗八百五十年の吉辰を迎えて恭しく道場を荘厳し 香華灯明を献供し 如法に慶讃の大法要を営みおわんぬ
 春色已にたけなわにして百花法悦の粧を呈し 林樹ことごとく緑にして鳥の聲は法音に和す
 嗚呼 大師の出興なかりせば 無名の長夜何れの時にか霊光を仰がん 大いなるかな その功 赫々として天日の如く盛んなるかな その徳 洋々として巨海の如し
 仰ぎ願わくは 大師の尊霊 我らの微衷を納受して この道場に降臨し給い 加被護念を垂れ給わらんことを爾云う
維時 令和六年四月二十七日
  総本山禅林寺 闔山大衆 謹白