1  浄土って何だろう

浄土の教えとは「浄土に生まれる教え」ということですが、「浄土に生まれるために何をすればよいのか」ではなく、「浄土に生まれることが決まっているこの私は、どのように生きていくべきか」を説いています。ほかの誰でもないこの私がどう生きるかという教えです。

浄土ってどんな世界?

「浄土」ってどのようなところでしょうか。
絵で見ると全てが金色に輝き、多くの仏様や菩薩様がおられて、天女や美しい鳥たちが舞い飛ぶ世界です。
しかしながら「天国」のように望みがなんでもかなうという世界ではありません。

一言で示すなら「苦」のない世界です。
はるか昔に法蔵という名の菩薩様が、私たちのように「苦しみに責め続けられている者こそが救われる世界をつくりたい」と願われました。

そして永遠ともいえるほどの長い時間をかけてつくられた世界を「浄土」といいます。

私たちのための世界をつくるには、まず私たちが一体どのようなことに苦しめられているのかを見定めなければなりません。「浄土」を知るということは、今現在の苦しみを知ることであり、「苦のない浄土」は私たちの生まれるべき未来です。