【記念事業動画】伊藤信道師インタビュー

記念事業動画の法話「法然上人のお念仏」を担当されました伊藤信道師へのインタビューの様子をお届けいたします。(聞き手:教化伝道部(以下教伝部)中川龍学)

 

◆伊藤信道プロフィール

浄土宗西山禅林寺派布教師。愛知県宝泉寺住職。キャッチフレーズは「わたしをひらく みんなとつながる」。お寺の電力は原子力発電に頼らずに、また二酸化炭素を出さないエコ発電で100%まかなっている。寒中托鉢行を40年目にして体調不良で挫折。残念無念。2021年3月アーユス特別功労賞受賞。
・宝泉寺HP http://www.housenji7676.com

 

教伝部:ご自坊のことを教えてください。

伊藤師:愛知県津島の町中のお寺です。昨年創建500年の記念事業として新しい本堂を建てました。できるだけバリアフリーにして、誰でも気軽にお参りしていただけるよう工夫しました。

教伝部:「わたしをひらく みんなとつながる」というキャッチフレーズを実践されてますね。

伊藤師:定例法要とお説教会を年に4回開いていたり、平成から数えて4回の五重相伝を務めたり、なるべく仏様とのご縁をつなぐお寺でありたいと思っています。

教伝部:伊藤さんはお説教師として全国のお寺に招かれる以外にも、おてらおやつクラブの活動など社会の問題に積極的に取り組まれてますね。きっとお忙しい日々を過ごされていると思いますが(詳しくはブログを参照https://blog.goo.ne.jp/housenji7676)、お寺での活動はどのようにして始まったのでしょう。

伊藤師:宝泉寺に生まれて、お坊さんになる得度式を受けたのは12歳でしたが、お寺のことで何かをしようと思ったのは25歳の時でした。転機となったのは学生を終えてお寺に戻った時。何か先代の父に負けないことをしてやろうと思いました。ライバル心ですね(笑)。そこで始めたのが寒の托鉢とお寺の新聞の発行でした。寒の托鉢は毎年一月に約30日間行っています。昨年は心臓の手術のためできませんでしたが、今年で40年を迎えました。お寺の新聞は、お檀家さんたちってお寺のことを知っているようで知らない。文章での「お説教」や「布教」というよりはお檀家さんとのコミュニケーションだと思っています。

伊藤師:「布教」ってコミュニケーションだと思うんです。相手とどういう人間関係を作っていけるか。布教で大切なのは言葉だけじゃない。日頃のスタンスが大切だと思っています。名説教師の前管長の中西猊下はご自身でお寺の掃除をすることを大切にされていました。その上でのお説教だと。

教伝部:お説教と講演会の違いってどういうところでしょう。

伊藤師:まずお話しする場所の違いが大きいかも。お寺とホール、仏様を前にするのとそうじゃないのとでは同じお話をするにしても違ってきます。そこの御本尊にまずいいお話しができることをお願いする。そうすると自ずと心の持ち方が違ってきて、法話になっていくように思います。

教伝部:今回、立教開宗850年記念大会でのご法話をいただきましたが、伊藤さんにとって法然上人の教えはどのようなものですか?

伊藤師:絶対的な安心感、安心(あんじん)ですね。人生の思い通りにならないこと、病気や家族や人付き合いで生まれる苦しみなど、全て認めて受け止めてもらえる。お金があろうが無かろうが、自分で功徳を積もうと思わなくても、お念仏があれば大丈夫。と法然上人の教えに触れることで思えます。そのありがたさは、人生の苦難を感じている人の方がわかるかもしれない。自分だけじゃない、みんな苦しんでいるんだ、と思えるんです。凡夫感というんでしょうか。つまずいた人の方がお念仏の教えに近づける。ほんとにありがたいことだな、と今心から思えています。

教伝部:勉強になりました。お疲れのところありがとうございました。