17 大往生

 建暦元年11月、ついに法然上人に京の都に戻ってもよいという許しが出ます。5年ぶりの帰洛に人々は喜び、日に日に多くの人々が法然上人のもとを訪れました。しかし高齢な上に配流の疲れも加わったこともあり、まもなく上人は病床につくようになります。傍で見守る弟子たちも、日増しに衰弱していく法然上人の様子にいよいよお迎えが近いことをさとります。そして建暦2年1月25日、法然上人は80歳の生涯を閉じ、極楽往生を遂げられました。最後まで法然上人の口からお念仏の声が絶えることはありませんでした。
 生涯をかけて様々な場所でお念仏の教えを説いてこられた法然上人。ご臨終前のお言葉にその念仏布教の姿勢が最もよく表れています。
「お念仏の声のするところは、身分の高下を問わず、いかなる場所であっても、すべてが私の遺跡」